(この記事は先日の記事の続きです。まだお読みでない方はこちらからどうぞ。)
さて今回はマガアラミタマ紹介の後編。内部構造を中心に書いていけたらなと思っています。
特にファニーな文体でもなく(それはいつもだろ)、当たり前のことを言っているだけの可能性もあるのでデカニクル的な作品の作り方に興味のある方でないと読むのが苦痛かもしれませんがよろしくお願いします。
かなり最初の頃のWIPツイート。全ての始まり。
この頃イメージしていたものとは少し違った形で完成となりましたが大きな方向性はこのときに既に決まっていました。
その後マスクの色を変え、ボディの構成も大体見えてきたかなという頃。
上半身を作っていた頃は過度に強度とかを気にする必要が無かったためとても楽しく進めていたのを思い出します。(不穏な空気)
これは完成品のアバラ付近の外装を取って横から見た図。肩の3連ホイールが目立ちますが内部のシリンダー付近を見てもらえたらと思います。
上半身をささえるシリンダーは計4本。シリンダーだけでは支えきれないため、内部にはヒーローファクトリーのフレームパーツと背中側にリフトアームが入っています。支えとしては心もとないですが背骨的な外装として使用しているヒーローファクトリーフレームも引っ張り方向への力に対する逆突っ張り棒的な役割があります。
まぁこれだけやってても極端な前傾姿勢などでバランスが崩れると支えきれなくなったりするんですけどね。
フレックスチューブに連ねたロボットアームは要所要所で本体に接続されつつヒーローファクトリーフレームの補強的な役割を兼ねており、上記の機能の底上げを図っています。
ちなみに強度が必要な部位を作る際できるだけ引っ張り方向以外の方向での接続を心がけることによってしなりやすっぽ抜けを軽減し、ブレなく剛性のある構造に近づけることができます。
具体的に言うとアクスルシャフトなどで縦に長くするのはあまり良くないのでリフトアームなどを使ったほうがいいよということです。(補強目的のシリンダーを除く。)
ちなみにしっぽの中身はこんな感じ。
テクニックコネクタのペグ穴にフレックスチューブを通すことで遊びというかゆとりをもたせ、左右に曲げたときにアーマーの隙間が目立つのを防ぎつつ、ボリュームを持たせています。
今回、というかいつもですが胴体の関節は腰と胴の2点になってます。
重さがあるため腰の関節は前後にしか動かないようにしてあり、強化ソケット2個と内側のシリンダー1本で支えています
これは最終的に似たような構造を採用しつつも廃案となった股関節です。
Neroを作ったときに使用した「ターンテーブル+前後に1本ずつのシリンダー」という構成のターンテーブルを貫通ボールに置き換えた物です。
この配置自体は完成にも引き継がれたのですがゴムタイヤを入れたことによる重量の増加とそれを支える構造の脆さ、しなりが致命的であったためそのあたりがまるっと変更されました。
しかしこの股関節を作っていた時はその脆弱性に全く気づいていなかったため「まぁ立つやろ」とやっつけで完成(仮)とさせてしまいます。これがその時の写真。
しかし本当に面白いほどに立たず、デカニクル界隈ではよく聞く奇跡の一瞬(一円玉に一円玉を立たせて乗せるみたいなアレのように奇跡的に立つ瞬間のこと)もなく、下半身の根本的な作り直しを余儀なくされます。
ここまでも自分としてはかなりエネルギーを注いでいたためバッコリ気持ちがへし折れやる気もなくなりました。
しかしながら人間というのは不思議なもので、しばらくすると「絶対に安定して立たせてやる」という強い気持ちが沸々と沸いてくるわけですね。
しばらく考え込んで見つかった改善点は4つ。
「股関節の強度不足」「(主に)太ももと腹部のしなり」「膝関節の脆さ」「足の裏部分のしなり」です。
股関節に関してはほぼ同様の配置ながら剛性が得られるようにリフトアームでの接続をメインにし、さらにマトランのボールジョイントで外側を補強することで股の開きすぎを防いでいます。
(これは可動域との相談なのですが、またが開きすぎないようにロックするのは可動域をせばめ、あぐらやヤンキー座りのような複雑なポーズを取らせづらくなるので普段はあまりやってません。)
太もものしなりについても、ヴィソラックの内部に使われている独特なリフトアームを使い、その裏にこのリフトアームを添えることで剛性が高まり解消されました。
膝関節については4つのボールジョイントを連ねて頭の悪い構造で行こうとしてたんですが、それだけではまだまだ弱かったので真ん中にクリック関節を追加しました。
これによって多少の負荷には負けない強い関節を手に入れることができました。
そしてこれが足。リフトアームを縦横と編み込むようにして様々な方向からの力に対して歪まないようになっています。
また、ゴムを配置して滑り止めとすることで、股が裂けて転倒することを防いでいます。
これら4つを改善したことで全体としての剛性が劇的に向上し、小さな足先でも安定して立つことが可能となりました(写真の通り、それでも脛部が外側にしなっていますけどね)。
今回はかなりしなりと剛性について考えさせられましたが、その分かなり収穫も多かったように思います。
どんな作品でも立たせるのに必要な要素は基本的には変わらないわけですから、これからの作品にも今回得たノウハウを活かして行きたいですね。
普通の人型で35cm程度であればここまで考える必要はあまりないのですが、アンバランスなシルエットや左右非対称、獣人などバランスのとりづらい作品や大きな作品を作る時には是非参考にしてみてください。
以上!VAIOでした!
ではまた。